トラッドのマルチピッチフリールートとして今年の目標にしていた
錫杖岳 “注文の多い料理店” に行ってきました。
こんちくわ!seitarouです。
元々は泊まりで錫杖を満喫しようと画策していたのですが生憎の悪天候予報。
そんな中でも北アルプス方面は、土曜日だけなら曇り程度で持つかもしれない。
しかし山の天気は予報より悪くなるのが相場というもの。
冒頭で記述した通り、このルートは今年目標の一つでした。
11月に入ればいつ積雪があってもおかしくない。この機会を逃すと今年の登攀自体難しくなる。
いてもたってもいられず、登山口で敗退でも仕方ない!という覚悟を持って現地へ向かいました。
こんな条件にも関わらず、私の願望にお付き合いしてくれたのはHIさん。
私を初めて北アルプスのバリエーション(雪の源次郎尾根)へ連れていってくれた恩人。
心強い、感謝です。
錫杖岳 前衛フェース。

いつ見ても登攀意欲そそる美しい岩陵。
クリア谷登山道から前衛フェースを見上げる。
この時点でポツポツと雨が、チクショウ!
最悪、偵察して帰る思いで北沢へ入る。
ルートの取り付きから見上げる。
見える範囲ではなんとか登れそう。

しかし未知のルート。不安に思いながら準備をしていると
ポツポツ程度の雨が少し強くなってきた。
躊躇しているとガイドさんのパーティーが先に取り付く。
私たちは中々覚悟が決まらず、まず左方カンテで様子を見る事にした。
こちらなら多少濡れていても問題ない。
早速、左方カンテに向かうと、先週、御在所で出会った大阪の女の子達にバッタリ!
左方カンテは、すでに渋滞していると聞き、やはり注文の多い料理店へ戻る事に。
小一時間ほど右往左往しているうちに雨は止み、岩も乾いてきた。
8:30。覚悟は決めた!!
1ピッチ目(Ⅳ)。
よく、優しいと紹介されている1P目フェースだが随分緊張した。
この先、大丈夫だろうか。
2P目(5.8)。
終了点の大きなテラスから少し左へトラバースしてフレーク状のクラック、フェースを登り、核心ハング下のテラスへ。
3P目(5.9)
ここから2Pがこのルートのハイライト。
まずハング下を右にトラバース。足が悪くスメアでの立ち込みで緊張の離陸。
情けない事に、「怖い!」を連呼(笑)。

ハングを超えると製品カタログの挿絵に入る様な美しいコーナークラックが、裂く様に空へ伸びている。
もう夢中である。何も考えられない。
絶壁のクラックに必死でしがみつき、息荒げ、熱を発しながら、ジリジリと体を持ち上げる。
3P目終了点となるお地蔵テラスは狭く、支点にぶら下がりながらハンギングビレイ。

ハングをトラバースして姿を見せるHIさん。
いつもの事ながら高い運動能力を感じさせるカッコいいムーブです。

最後は私の股を抜けて狭いテラスへ

このテラスでは先行パーティーの思わぬトラブルに巻き込まれ
酷い思いをしましたが、それも終わってみれば良い思い出か(?)
4P目(5.8)。
3P目同様ハングをトラバースし後、腕がスッポリ入る様なワイドクラックが続く。
自分がどう登ったかほとんど覚えていない。
覚えているのは、強いプレッシャーのあまり、鼓膜に響く鼓動と荒い息音。
下を見れば基部にデポした大きなザックがマメ粒程に見える高度感。
終了点に着いた時の開放感と何か大きな事を成し得た様な達成感。
それらが、こんな素晴らしいロケーションで行われてたと知ったのはHIさんの登攀を見た時でした。

クライマーの間では厳しさに大きな恐怖感や緊張感を伴った美しいルートを “シビれる” と形容します。

最高にシビれる登攀!!

このクラックも最後はハングに頭を抑えつけられトラバース。
ここのホールドが悪く緊張。
5P目(5.8)
最初は快適なクラック、その後アルパインムード漂うスラブとブッシュで左方カンテと合流。

登らせてくれた仲間と山に感謝です。
忘れられない最高の登攀でした。
そこから3Pの懸垂下降で戻ります。

途中、後続のパーティーを撮影。

丁度、核心の3P目を登攀中です。
降りてくると時間は12:30。
帰るにはまだ早い。食事を済ませて、ルートを偵察しながら1ルンぜへ。

こちらも残置整備されてスッキリとしたフリールートになっているそうで、取り付いてみる。

岩のフリクションがよく、安定したルートという印象。
しかし1Pがとにかく長い!!毎ピッチほとんど50mいっぱいまで伸ばす。

どこでも登れる感じでルートどりで難しくも簡単にもなるという感じ。

時々、晴れ間が差すほどの好天となり、快適な登攀。
景色もよく見えます。
穂高方面

焼岳
4P登った所で時間を見ると16:30。
暗くなる前に下りましょうという事でそこから懸垂下降。

17:00に基部へと戻り3ルンゼの偵察を少しして下山。
クリア谷登山道からはへッデンを灯して帰路につきました。
天候に恵まれ、最高に ”シビれる” 登攀を楽しめて
山に、仲間に、全てにありがとう!!
そう思わずに居れない、心に残る素晴らしい一日でした。
ありがとう!!