
8/15
行動予定日としては最終日となるこの日。
いよいよ、今回の遠征の一番目標であるBugaboo spireのNortheast ridge へ向かうことに!
「北米大陸50選」にも選ばれている、超おススメのクラシックルートらしい。
どんな素敵なルートなのか、とっても楽しみ♪
ただ、不安なのはその長大さ!
トポに記載の所要時間は、12時間~16時間となっています。
それにハイシエラの時にも思ったけど、日本のトポと比較すると表記の時間はなかなかタイト!
初めての山域、初めてのルートで、しかも普段から足は速くないtama(他の3人は大丈夫!)のこと。
相当頑張らないとヤバイです。


早発ち必至!とはいえ、地形を熟知している場所ではないので、あまり暗くても危ないかな?
色々考えて4時頃起床、5時半頃に出発することに。
ヘッデン出発でしたが、氷河湖を越える頃には明るくなっていました。
まだ暗い間でも歩けるように下見した辺りを抜けていないし…
少し出発遅くしすぎたかな?(笑)


氷河上に出たので、アイゼンを装着して、念のためピッケルも出しました。
所々にクラックは入っているものの、安定して見えたので、ロープは繋がず普通に歩いて行きます。



Bugaboo-crescent colへの取り付きへと詰めていきます。
岩場に取り付く前に、安定した場所でアイゼンを脱いで登攀準備!
といっても、ここはまだ登山靴で進みます。

トポによると、コルへの登りはⅢ級程度の歩き。
実際、先行パーティーはフリーで軽々と越えて行かれましたが、ミスは許されない感じでなかなか厳しく見えます。
こんな長いルートではスピードか重要なことも理解はしているけれど、知らない山の初見のルートということもあり、どうしても不安が拭いきれず、私達はロープを出して進むことにしました。
さんぱちさん&さぶちんも同じ思いだったようで、取り付いてすぐロープを出して安全に。


少し脆いところや浮石もあって、なかなか厳しーーーーー!
確かに難しくはないし「Ⅲ級なんだな」って感じだけど、所々で一手一足が緊張させられます。

コルまであと少しかな?
向こうにバガブーが近づいてきました。
角度が変わると表情も変わって、ここからの姿もとても素敵!
でもまだまだ遠い…


ようやくコルに上がって、稜線に出ました!
標高差150m程のⅢ級に、4ピッチ、1時間近くを費やしてしまった…
ここからpeakまで、700~800mの標高差を登っていきます。
この先はどんな感じなんだろうか。
ドキドキわくわくです♪

コルからロープアップテラスまでは広いチムニーで歩きクライム。
ここは(使ったけど)ロープ要らないくらいだったかな。


やっと、北東稜の取り付きに着きました!
ここからが本来のスタート!?
腹ごしらえをして、クライミングシューズに履き替えて、トポやらギアを確認して…
準備万端!いざ行かん!!



1ピッチ目:5.7 (25m)
下から見上げると「いきなりハングか?」と思う威圧感!緊張します。
実際は、左のフェースを上がって右へトラバース。
ハンドとチムニー状を登ると、そこからちょっと長いレイバックで上のテラスへ。
いきなりの苦手なレイバック!
しかも、手がかりを使って足を効かせたい方向と足がかりとが合わなくて、バランスが悪く嫌らしい。
でも、カッコよくて楽しい♪



2ピッチ目:5.6(40m)
到着したテラスから少しクライムダウンして、手掛かりの少ないフェースをトラバース。
ちびっ子だから、全然カチまで届かない!(笑)
耐えて耐えて横移動してカチる!
岩陰に隠れて見えない壁へと手探りで手がかりを探しながら進むにはドキドキの遠さと細かさ。
壁を回りこんでしまえば、後はフレーク状を快適にテラスまで。
続いて、万年フォローのへなちょこtama。
失敗したら結構落ちたり振られそうなクライムダウンとトラバースは辛い!
でも、とにかくロングなこのルート。
「躊躇している時間はない」と自分に言い聞かせて、とにかく進みます。
確かに手がかりは少ないけど、落ち着いて探ると、欲しいと思う場所に次のホールドが用意されている。
そう思えたことで、少しずつ楽しんで登る余裕がでてきました♪


3ピッチ目:5.7(30m)
ビレイ点から5mくらい下のテラスまで、ローアーダウン(tama)とクライムダウン(siさん)してからのスタート。
はじめにフェースの中の階段状のルンゼを上がると、そのうち傾斜も立ってきてハンドホールドが乏しくなる。
何度かフェースをジグザグに右上していくと右への乗り込みでバランシー。
手が無いのだよ。変な丸い突起しか。
ここも、ちびっ子じゃなければその先のホールドに届いて、やさしい乗り込みなのかもしれない。
本当のリッジに戻って、珍しく残置のビレイ点があったので使う。
ここは振られそうなところもなかったので、フォローのtamaには楽しいばかり♪



4ピッチ目:5.6(40m)
スタートは、きれいに立った浅いコーナー。
ところどころクラックがあるので見た目以上に快適に登れます。
ただ、小さい目のプロテクションが続くので玉不足にならないかが不安…。
すると、なんと!
都合よく残置のナッツが、それも適当な距離にあるではないですか!
有難く使わせてもらって、持参の小さいナッツ&カムもフル活用して、初めての広いテラスへ。
つるべで進むサブちん&さんぱちさんパーティーとの距離が少しずつ開いていくけれど、とにかく目の前のことに集中して、少しでも無駄のないように…。


5ピッチ目:5.6 (30m)
テラス右のやさしいハンドクラックから、体が入るような浅くて広いチムニーへ。
途中でチムニーに刺さった棒のような岩にぶら下がって越えて、ちょっと広いところに出て終了。
面白い♪

6ピッチ目:5.5(55m)
狭いチムニーに入ると、ザックが邪魔で体が詰まってしまい、身動きできなくなりました。
仕方ないので一度戻って、ザックを股下にぶら下げて再チャレンジ。
その上の幅広くなったチムニー上から一手二手、手掛かりが少なくてちょっと緊張。
いったん抜けて小テラスに立つと、その上もチムニー。
その後、階段を上を上がってテラスへ。


何ピッチ登って、残り何ピッチあるのか、わからなくなりそうなボリューム。
喉も渇いたしお腹も減ったので、シリアルを食べて水を飲みつつ、テラスからの眺めを味わいます。
ガス勝ちで遠景が霞んでいるのが残念だけど、トポにあったように、素晴らしいロケーション。
最高の眺めです。
ひとつひとつのピッチも面白くて、いい気持ち(*^^*)
けど、長い!!
ほんとうに、あと何ピッチあるんだったっけ?


7ピッチ目:5.5 (60m)
シマリスが出てきて、「何してんの」みたいな顔をしてしげしげと見られた!
あまり記憶に残ってないけど、単調で大きな階段状だったような・・・?



8ピッチ目:5.4 (30m)
易しいクラックから特徴のない階段状を上がって、岩峰でスリングをかけてビレイ。



9ピッチ目:5.7(45m)
そこからハンドクラックのあるリッジは登らずに、右に回り込んでスリッピーなスラブを登って、右に回り込んだら、左側の壁にあるホールドにぶら下がって「くんっ」と上がり、短いクラックを登って、また滑りやすいスラブへ。
続けて、階段状を上がって広いテラスに出たら終了。
tamaは小テラスで右に回りこんでから、登り方を少し迷って、更に右寄りの壁に手がかりを探して登ろうとして1トライ目は落ちる。
ロープが伸びて小テラスに尻餅つきつつ、テラスの少し下まで落ちてびっくり!
這い上がって冷静に見回したら、左側のいい感じのホールドが見つかって、ぶら下がって「くんっ」と上がってクリア。
ああ、なんか、物凄く悔しーーーーー!





10ピッチ目:5.4 (35m)
そこから易しいリッジを登って懸垂支点のある終了点へ。
岩を超えてビレイ点を見上げてみると…何と!
siさんの向こう側で、さぶちん&さんぱちさんがにこにこ笑顔で迎えてくれました。

風も出てきて冷えるのに、待っていてくれたなんて。
嬉しいやら申し訳ないやら。
皆で記念撮影したら、次は南峰の下に伸びる稜線(southridge:ケインルート)を目指して。
長い下降の始まりです。

本当の北峰の頂上は、更に2ピッチ程上がるようですが、そこは踏まずに下ります。
最初の懸垂支点は終了点すぐの岩にあり、すぐにわかりました。
ここから、ひたすらクライムダウンとトラバース、懸垂を繰り返します。



トポには退屈な下りとか書いてあったけど…
それってどこのこと?
まだまだ険しくて、全然気が抜けないです。
退屈なんて微塵も感じる暇ないし(笑)



懸垂、懸垂、ちょっと歩いてまた懸垂。
南峰頂上辺りかな?(こちらも本当のピークは踏まずです。)
一箇所、めちゃくちゃ怖いクライムダウンからのトラバースがあって、tamaビビる!
それを「怯むな!」と叱咤激励していたsiさんも「怖いな、ここ。どうやって下りたん?」と微妙にびくびくしながら下りて来た。(笑)


この辺りの雰囲気は、なんとなくお気に入り♪
初見だと何があるかわからないから…とロープを出して進んだ緩いスラブは、見た目通り安定していて、問題なかった。
こういうひとつひとつが時間を食うのだろうけど、でもやっぱり具体的な不安がある時には確保して進むのがいいかなとも思う。



あれがジャンダルムかな?
南稜への最後の懸垂&トラバースをこなし、ようやく稜線に乗りました!
とはいえ印象はまだまだ厳しいままで、「退屈な下降」になるのはいつのことやら。
今はまだ、微塵もそんな気配は感じません。



ジャンダルムからの懸垂は、壁を回りこんでのスタート。
そうでなくとも、どうかすると振られそう。
なのに「ここ、いきなりの空中懸垂だねー。」と言いながら下りていくさぶちん。
その言葉にビビッて固まるtama。
去年、ダン・デ・ジュアンの60mいっぱいの空中懸垂で、確認したつもりのバックアップも効いておらず、コントロールを失ってスピードがつきすぎ、「それは墜落というのでは?」という勢いで着地。
そのトラウマから立ち直りきっていないtamaは、足が竦んで一歩目が踏み出せない。
時間の余裕なんて無いのに…と気持ちだけは焦るけど、体がついていかず断固拒否!
しまいにあきれたsiさんに押し出され、泣き叫びなからようやくスタートしたら、なんてことない普通の空中懸垂でした。
特定の単語に反応しすぎる自分に反省のtama。
もっと冷静沈着にならなくては。
懸垂を終えたら、今度はロープがスタックして引けないトラブル!
方向を変えれば引けるかと、少し先にトラバースしていたさんぱちさんに引いてもらうと…
やった!引けた!!
登り返しにならなくて、本当に良かった。
何かとドキドキのピッチでした。

バガブーの影が落ちて素敵!とか言ってる場合じゃない?
だんだん日が傾いてきたのを感じます。

見下ろした氷河の向こうに聳えるのは、ハウザータワー(右)とピジョンスパイア(左)
ピンクに染まって、美しい…

まだまだ続きます。
何なの?このボリューム!
盛りだくさんすぎて、もうお腹いっぱいです。

いよいよ日没。
時刻は20時30分。
美しい…とか、見惚れてしまいそうになるけど、ますますそれどころではないような(笑)

目標のコルは、まだまだ先です。
ってか、下り始めて随分経つけど、一体どの辺りまで下りられているんだろう…

どれくらい繰り返したのか…
ようやく少し傾斜が緩やかになってきた頃には、辺りは暗闇になりつつあり、ヘッドライトを点けて進むことに。
その後は、単調な歩きが続き…
(トポの「退屈な」っていうのは、この「単調さ」のことか?)
とはいえ所々でまあまあ険しいし、道の見極めに一瞬迷うような薄いところも。
途切れがちなケルンを頼りに、道を探しながら下降していきます。
闇夜になったことも手伝って、厳しーーーー!
月明かりがあれば、ヘッデンでも明るかったりするのにな。
途中で小休止をとり、クライミングシューズを脱いで靴に履き替え、黙々と歩いていると…
パン、パンパン、パーーンーーーーー♪と音がして、闇空に明るく華やかな光が。
こんな山奥で花火?
いったい誰がどうしてあげたのか、まさか花火がみられるとは!
少し疲れがでてきていたけど、なんとなく元気付けられました。
更に暫く歩いていくと、何だか標識のようなものもある安定した場所に出ました。
シュラフに包まってビバーグ中の外国人パーティーがいます。
寒くないのかな?
bugaboo-snowpatch colに出たのならApplebeeへの下降ポイントがあるはずだけど、暗くて方向がよくわかりません。
コンパスで確認していたら、ビバーグ中のパーティーが「そっちの方向に100m程進んだら懸垂支点がある」と教えてくれました。
サンクス!起こしてごめんね。



アドバイスに従って進むと、ありました!懸垂支点!
ロープのセットをどうしよう…
60mを2本使った方が一気に行けるけど、万が一引っかかったり抜けなかったりしたら大変だし…
少し迷って相談の結果、1本でセットして下降します。
アイゼンとピッケルを身に付けて懸垂したら、ようやく氷河に降り立ちました!
さすがは人気ルート。
階段状に明瞭なトレースがありますが、歩幅が外人サイズでちょっぴりキツイ(笑)
雪は適当な硬さかなとホッとしかけたら、所々非常に硬くて緊張!さすが氷河だ。
しばらく下りると、トラバースした先に次の懸垂支点があるのを発見。
引っかかることもなさそうなので、今度はロープ2本にして行けるところまで行くことに。
これは正解で、小規模だけど複数のクレバスが口を開く微妙な場所を通過できたみたい。
傾斜もなだらかになって一安心。
少し進むと岩場がでてきたので、アイゼン・ピッケルを外します。
暗闇だし、トレースも無いし、頼りになるのはコンパスと勘だけ(笑)
どう進むのが正解かよくわからないけど、正しいと思う方向を目指してとにかく進む!
歩いて歩いて「本当に間違っていないのか?」と疑いたくなるくらい歩き続けて
不安になり始めた所で、ようやく見覚えのある標識に行き当たりました。
いきなり道らしくなったし、これでもう大丈夫!
しばらく進むとテントが見えて、ようやく長い一日が終わります。
時刻は午前3時…
もう夜中、というより、もうすぐ朝。
周囲のテントはまだ暗いので、ガチャガチャしないように気をつけて…
片付けは朝にするとしても、ホッとしたらさすがにお腹が減っていたみたい。
安眠の為に、テントの中で食事だけ摂って、おやすみなさい。
いつも「ふたり」での山行で、他パーティーと行動を共にしたのは初めてでしたが、
ふたりが一緒に歩いてくれたことは心強く、本当に色々と助けられました。
私達だけなら更に時間もかかったし、諦めて途中ビバークしていたかも。
本当に「感謝」のひと言に尽きます。
明日(というより、既に今日)はついに下山日です。